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特集 統合失調症と認知機能―最近の話題
統合失調症における感覚・運動障害(神経学的徴候)について
著者: 森本一成1 岡村武彦2 川野涼3 太田宗寛3 米田博3
所属機関: 1大阪医科大学中央検査部 2大阪精神医学研究所新阿武山病院 3大阪医科大学神経精神医学教室
ページ範囲:P.1271 - P.1277
文献購入ページに移動統合失調症において,神経学的検査でさまざまな異常が認められることは古くから知られている。平衡機能の障害や変換運動障害などについてKraepelinが報告しており10),筋緊張の増加などをBleuler2)が記載している。近年,統合失調症の神経発達障害仮説が提唱されるようになり,古くから報告されている統合失調症の感覚や運動の障害,すなわち神経学的徴候(Neurological signs;NS)に再び注目が集まるようになっている。過去のNSの研究においては,慢性期の服薬している統合失調症患者が対象となっていることが多く4,18),慢性化や抗精神病薬の影響について必ずしも一定の見解を得ているわけではない。また,臨床症状との関連についても症状の評価方法の違いなどから一致した見解には至っていない7,8)。
我々は以前より統合失調症におけるNSについての臨床研究を行ってきたが9,11,12),さらに症例数を増やして再検討を行ったので,上記問題点についての現在までに得られた見解と今後の課題について報告する。
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