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研究と報告
女性物質使用障害における摂食障害―乱用物質と摂食障害の関係について
著者: 松本俊彦1 山口亜希子2 上條敦史3 南健一3 遠藤桂子3 矢花辰夫3 岸本英爾3 小阪憲司1
所属機関: 1横浜市立大学医学部精神医学教室 2横浜市立大学学生相談室 3神奈川県立精神医療センターせりがや病院
ページ範囲:P.119 - P.127
文献購入ページに移動2000年1月~2001年8月に神奈川県立精神医療センターせりがや病院外来を初診した,女性物質使用障害症例219例を対象として摂食障害に関する調査を行った。その結果,摂食障害は26%に認められ,その病型の比率は,神経性無食欲症3.5%,神経性大食症66.7%,特定不能の摂食障害29.8%であった。物質別では,methamphetamine乱用者で摂食障害が最も多く(37%),alcohol乱用者(18.8%,p<0.01)やtoluene乱用者(9.5%,p<0.02)との間で有意差を認め,食欲抑制作用を期待した乱用が推測された。摂食障害を合併するmethamphetamine乱用者では,神経性大食症,非排出型(40.7%)の割合が,ほかの摂食障害を合併する物質乱用者と比べて顕著に高く,その薬理作用との関係が推測された。摂食障害のほかに,自傷,大量服薬の経験を持つ,いわゆるmulti-impulsive bulimiaは,benzodiazepine乱用者で最も多く,乱用者の27.3%に認められた。
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