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文献詳細

雑誌文献

精神医学45巻2号

2003年02月発行

研究と報告

脳挫傷5年後に痴呆を呈し,海馬体に限局した神経原線維変化を認めた1例

著者: 島崎正夫12 小林克治1 岡宏13 中野博之1 林眞弘4 宮津健次1 佐々木素子5 越野好文1

所属機関: 1金沢大学大学院医学系研究科脳情報病態学 2中川病院 3石川県立高松病院 4国立療養所北陸病院 5金沢大学大学院医学系研究科形態機能病理学

ページ範囲:P.139 - P.144

文献概要

抄録

 症例は83歳の男性。左前頭側頭葉の脳挫傷受傷5年後より自閉的になり,記憶障害や見当識障害,せん妄を認めた。症状は進行性に増悪し,約2年の経過で死亡した。病理学的には,左前頭側頭葉に脳挫傷による壊死病巣を認めた。また,CA2-3にghost tangleが集中して出現しており,大脳新皮質には定型老人斑や神経原線維変化を認めなかった。本症例の病変は,内嗅領野から神経原線維変化が増加していくアルツハイマー病とは異なる分布を示した。これは急速な痴呆の進行を説明しうる病態であり,脳挫傷を伴った辺縁系神経原線維変化痴呆と考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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