文献詳細
研究と報告
「シックハウス症候群」であると主張するアトピー性皮膚炎患者への精神医学的介入
著者: 境玲子1 二橋那美子1 大西秀樹13 山田和夫1 井関栄三1 石和万美子2 近藤恵2 池澤善郎2 小阪憲司1
所属機関: 1横浜市立大学医学部精神医学教室 2横浜市立大学以下供奉皮膚科学教室 3神奈川県立がんセンター・精神科
ページ範囲:P.167 - P.173
文献概要
シックハウス症候群という疾患概念は本邦でも注目されているが,本症候群について精神医学的見地からみた検討はほとんどなされていない。今回我々は,「自分はシックハウス症候群なので,退院して帰宅できない」と主張するアトピー性皮膚炎患者を皮膚科からの併診で診療する機会を得たので,治療経過を報告した。本例では皮疹と精神状態に関連がみられており,皮膚科と精神科が連携して診療することが治療にとって有意義であった。本例の治療経過において,シックハウス症候群か否かの結論を保留とし,皮疹の状態に配慮して,支持的かつ洞察的にかかわることが精神医学的に重要であった。
掲載誌情報