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オランザピンと横紋筋融解症
著者: 長嶺敬彦1 大賀哲夫1 薦田信2
所属機関: 1清和会吉南病院 2阿知須同仁病院
ページ範囲:P.205 - P.207
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K.T. 46歳,男性。
診断 統合失調症。
現病歴 学生時代は社交的で優等生であった。大学卒業まぢかに突然大声を出すなど奇異な言動と独語・空笑を認め,総合病院の精神科で統合失調症と診断された。内服薬による治療を受け翌年大学を卒業し,証券会社に就職した。数年間は通常勤務を行っていた。29歳で結婚。32歳のとき職場での不適応から会社を辞め,営業職に転職した。しかし徐々に自閉的傾向が出現し,X年1月(45歳)より,仕事のノルマが達成できず,ストレスがたまった状態であった。X年3月職場の人間関係でストレスを感じ退職した。それ以来家族と別居し,実家で母親と暮らすようになった。一日中家にいて,無為・自閉的傾向が強かった。プロペリシアジン40mg/日,レボメプロマジン75mg/日,塩酸プロメタジン75mg/日,ニトラゼパム10mg/日を処方され,服用していた。X+1年3月はじめより食欲低下,無気力が続いていたが,3月29日に反応の低下を認め,母親の要請で救急車にて総合病院に搬送され入院となった。血液検査,頭部CT,髄液検査で異常を認めず,反応の低下は精神科的な状態(亜昏迷)と判断され,X+1年4月1日に当院に転院となった。なお総合病院入院後の3日間は抗精神病薬の内服は中止していた。
現症 来院時意識清明。声かけにはきちんと挨拶できるが,活気がない。顔貌はやや苦悶状であった。体温37.0℃,脈拍73/分整。血圧136/86。食欲がなく,無気力で抑うつ的であった。入院時血液検査・心電図検査では特に異常を認めなかった。オランザピン10mg/日,フルニトラゼパム2mg/日の投与を開始した。翌日の4月2日に赤褐色尿を認めたため,血液・尿検査を施行したところ,血清CKが48,340IU/L,血中ミオグロビンが12,000ng/ml,尿中ミオグロビンが72,000ng/mlと著しく上昇していたので,内服薬をすべて中止した。依然として無気力であったが,意識レベルは清明であった。発熱,発汗,筋固縮,その他の錐体外路症状は認めなかった。再度施行した心電図検査は異常を認めなかった。この時の血液検査データを表に示した。
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