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短報
一過性の著明な高CPK血症を呈した統合失調症の1症例
著者: 片上素久1 岩崎進一1 松永寿人1 切池信夫1
所属機関: 1大阪市立大学大学院医学研究科神経精神医学
ページ範囲:P.329 - P.332
文献購入ページに移動精神疾患患者において,血中creatine phosphokinase(CPK)が上昇することは広く知られている。一般に,CPKは筋収縮に必要不可欠な酵素であり,2個のサブユニットの組み合わせによりCK-BB,CK-MB,CK-MMの3つのアイソザイムに分類され,それぞれ組織特異性をもって脳および腎臓,心筋,骨格筋に存在している。精神疾患患者における高CPK血症は,骨格横紋筋由来がほとんどであり,基礎疾患としては統合失調症が多い。その原因として,精神症状,抗精神病薬,錐体外路症状,悪性症候群,そして横紋筋融解症が報告されている9)。今回,統合失調症の経過中,無症候性に一過性に50,000IU/l以上もの著明な高CPK血症を呈した極めて稀な1症例を経験したので,若干の考察を加えて報告する。
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