icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学45巻3号

2003年03月発行

書評

ナルコレプシーの研究―知られざる睡眠障害の謎 フリーアクセス

著者: 大熊輝雄1

所属機関: 1大熊クリニック

ページ範囲:P.334 - P.334

文献概要

 本書は,序言に述べられているように,睡眠障害の専門医として40年以上ナルコレプシーの治療・研究にあたってきた著者が,ナルコレプシーの謎を解き,患者さんや家族の方にナルコレプシーはきっと治る,完治しないまでも安心して社会生活を送れるようになるというメッセージを伝えたいと願って執筆されたものである。

 ナルコレプシーは,以前には日中の強い眠気,情動脱力発作,入眠時幻覚,睡眠麻痺(金縛り)などの一見関係のなさそうな症状を持つ珍しい過眠症として,てんかんと並んで記載されていたが,最近は睡眠学の進歩によって,レム睡眠の障害を伴う疾患であることがわかっている。本多博士はご自身で診療した900名近くの患者さんについての調査結果から,日中の居眠りと情動脱力発作が診断に重要であることを明らかにした(第5章)。本書によると,本多博士は,精神科に入局当初から間脳機能の障害として精神障害を理解しようと試み,間脳症の一つとしてナルコレプシーを取り上げたとのことである。そして,睡眠研究のために東大精神科に睡眠外来を設立してチームとして診療,研究を始め,また遺伝研究などでは積極的に部外の研究者と協力して研究を進め,次々と大きな研究成果を挙げていかれた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら