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文献詳細

雑誌文献

精神医学45巻4号

2003年04月発行

文献概要

特集 新医師臨床研修制度の課題―求められる医師像と精神科卒後教育の役割

精神科診療所における精神科卒後臨床研修について

著者: 松下昌雄1

所属機関: 1㈳社会福祉友の会西落合(精神科)診療所

ページ範囲:P.393 - P.397

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はじめに

 最終段階ぎりぎりのところで卒後臨床研修における精神科の必修化が決まった。七者懇談会卒後研修委員会(委員長:小島卓也)でもずいぶん議論され,努力した。一時は精神科の必修化は絶望視され,委員会の活動方針を変更せざるをえない雰囲気にまでなったが,結局は委員会の努力が実った形となった。というより,やはり時代の要請がそうさせたといってよい。21世紀は,心(脳)の時代といわれる。それに呼応して精神科の患者は増えている。少なくとも精神科の受診患者は明らかに増加している。以前10万人だった医師数は,医師倍増計画の結果,現在は約2.5倍(255,792人,2000年末)1)になった。増えただけゆとりが出たかといえば,精神科では相変わらず医師不足である。精神科では主要14診療科の中で放射線科以外では唯一専門医制度がないことも問題である。専門医制度が発足(2004年度)すると,このままだと端からみると精神科専門医がいないことになる。現在では標榜科目だけみても医師の専門性はわからない。精神保健指定医制度はあるが,これは強制入院をさせることのできる特別な国家資格で,他科が持っている専門医とは質を異にしている。現在,充実した卒後研修により優秀な専門医育成の基盤を作ることが強く要請されている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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