文献詳細
研究と報告
三次元人格評価尺度(TPQ)を用いた季節性感情障害(SAD)の人格特性の解析
著者: 前野信久12 楠和憲2 小野雄一郎3 今井真4 李嵐2 粥川裕平5 尾崎紀夫2 太田龍朗1
所属機関: 1名古屋大学大学院医学研究科精神生物学分野 2藤田保健衛生大学医学部精神医学教室 3藤田保健衛生大学医学部公衆衛生学教室 4滋賀医科大学精神医学教室 5名古屋工業大学保健管理センター
ページ範囲:P.475 - P.482
文献概要
季節性感情障害(SAD)はうつ病としては非定型的な症状を伴うことが多く,その人格特性についての報告は少ない。近年,うつ病を中心とした種々の精神疾患に対しCloningerの人格理論によるTPQおよびTCIを用いた人格特性評価が応用されている。今回我々はSADの有病者の人格特性について,TPQを用い抑うつ評価や人口動態的な指標も加え検討した。SADの明らかな人格特性として,「損害回避(HA)」の高値が示されたが,冬型SADではHAの高値は抑うつ傾向の影響を受け,夏型SADでは抑うつ傾向に関係なくHAの高値が認められた。また,抑うつ傾向を加味した上でHAを評価してみると,HAの下位項目である「易疲労性・虚弱性」の項目のみにSADの特徴的人格特性が認められた。
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