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研究と報告
緩徐に進行し,奇妙な幻覚妄想を伴った初老期変性性痴呆の1例
著者: 鉾石和彦12 池田学2 牧徳彦3 根布昭彦4 山内寿恵5 田辺敬貴2
所属機関: 1精神病院真光園 2愛媛大学医学部精神科神経科 3鶯友会牧病院 4愛媛県立今治病院 5山内クリニック
ページ範囲:P.509 - P.514
文献購入ページに移動発病後10年以上経過して奇妙な幻覚妄想がみられた初老期痴呆例で,変性性痴呆ではあるものの,臨床診断が困難であった1例を経験したので報告する。
症例は64歳の女性。10年前頃から物忘れを指摘されていたが,その後周囲に無関心となり痴呆症状も進行した。最近になって,奇妙な幻覚,妄想とそれに基づく異常行動がみられた。神経心理学的検査では著明な人格変化,接触性の不良,保続などの脳の前方症状がみられたが,神経学的に異常所見は認められなかった。頭部CT,MRIでは右側優位の前頭,側頭葉の萎縮が認められたが,辺縁はナイフの刃状の萎縮ではなかった。SPECTでは前頭葉から頭頂葉にかけて脳血流の低下が認められた。
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