文献詳細
研究と報告
統合失調症者の自己記入式調査に対する回答信憑性―統合失調症者の地域生活に対する自己効力感尺度(SECL)に対する回答の検討から
著者: 瀬戸屋(大川)希1 大島巌1 長直子2 福井里江1 槙野葉月1 岡伊織3 吉田光爾1 池淵恵美4 伊藤順一郎5
所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野 2東京都精神医学総合研究所精神看護研究部門 3全国精神障害者家族会連合会保健福祉研究所 4帝京大学医学部精神科学教室 5国立精神・神経センター精神保健研究所
ページ範囲:P.517 - P.524
文献概要
精神障害者が地域生活に対して感じる自信の程度を測定するSECL尺度の開発の一環として,統合失調症者から得られた回答の信憑性を検討した。統合失調症を有する新規入院患者,長期入院患者,デイケア通所者,外来通院者の計269名を対象として,自記式調査票および主治医評価による調査を行った。SECLへの無回答,重複回答は共に少なく,SECLはさまざまな状況における統合失調症者に幅広く施行できることが示された。またSECL全18項目に同じ得点を回答したもの(偏回答者)は新規入院者の1.8%にみられ,彼らは症状得点の高いことが示された。入院患者に,SECLのような自己記入式調査を実施する際には,急性症状がおさまり安定した時期に施行することの重要性が示唆された。
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