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文献詳細

雑誌文献

精神医学45巻6号

2003年06月発行

文献概要

研究と報告

統合失調症(精神分裂病)患者における空間認知と生活行動特性との関連

著者: 細美直彦12 西村良二1

所属機関: 1現,福岡大学医学部精神医学教室 2不知火病院

ページ範囲:P.637 - P.644

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抄録

 我々は,統合失調症患者の空間認知と生活行動との関連を探ることを目的に今回,描画を通して病棟認知を調べると同時に病棟内行動の観察を行い,さらに精神症状との関連について検討した。結果は,描画において,構成力を描画判読の視点として全体分割型,部分主体型に分類した。行動観察では,廊下に居ることが多い廊下優位,デイルームに居ることが多いデイルーム優位に分類された。比較を行い全体分割型では廊下優位の者が,部分主体型ではデイルーム優位の者が有意に多い結果が得られた。臨床評価では,全体分割型が部分主体型に比べ機能の全体評価での障害程度が軽度であった。

 統合失調症患者の身体距離図式の障害において,デイルーム優位が多い部分主体型の認知を示す者は他者との接近が見られず交流が少ないと考えられた。廊下優位の多い全体分割型の者は居場所を探すための安全と情緒的な満足を得ようとする行動と考えられた。これらのことから各々のタイプへ適切と思われる治療的接近法について考察した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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