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短報
Risperidoneが著効した初期分裂病(中安)が疑われる1例
著者: 北林百合之介1 上田英樹1 成本迅1 小尾口由紀子1 中村佳永子1 岸川雄介1 福居顯二1
所属機関: 1京都府立医科大学精神医学教室
ページ範囲:P.763 - P.766
文献購入ページに移動「初期分裂病(中安)」は「分裂病シュープの初期を指し,通常の分裂病に対するのとは別の治療的対応を要すべき1つの臨床単位である。ただし,明瞭なシュープ極期の既往や後遺症状が存在する場合は除く」と定義され,より具体的には,①特異的な症状が存在する,②幻覚妄想状態や緊張病状態などの極期と異なり病識が保たれている,③極期症状に有効な抗精神病薬が必ずしも有効ではなくその病態生理にドパミン系が関与しているとは考えられない,④この段階に数年にもわたってとどまる例も多く極期への進展に対する障壁機構の存在が示唆されるなどの特徴を有するものである2~5)。
今回,我々は,45歳で発症し数年間を経過した初期分裂病が疑われる1例を経験し,risperidoneによる薬物療法を行い,治療前後で123I-IMP SPECTを用いて評価する機会を得た。症例を紹介し文献的考察を行う。
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