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統合失調症と解離性同一性障害の鑑別に苦慮した思春期男性の1例―多彩な症状を呈した患者を通して
著者: 小林清樹12 千丈雅徳1 中島公博1 古根高1 林裕1 坂岡ウメ子1 田中稜一1
所属機関: 1五稜会病院 2現,札幌医科大学神経精神医学教室
ページ範囲:P.779 - P.781
文献購入ページに移動札幌の北部に位置する中規模病院である五稜会病院では解離性同一性障害(以下DID)と診断し,交代人格と対話することによって寛解へと導かれる症例が増えている。そのうちの1例を前回報告した8)が,今回は,DID症状を示すものの,統合失調症(以下S)の診断を下さざるをえなかった症例を経験した。DID概念をしっかり持っている医師でもSとDIDの鑑別が難しい5)と報告されている。また,精神保健機関を初めて訪れてからDIDと診断がつくまで平均6.7~6.8年2,5,7)とも報告されている。そこで,両者の鑑別について検討,報告することにした。
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