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精神科入院中に深部静脈血栓症,肺血栓塞栓に罹患した症例の臨床的検討
著者: 岩田正明12 小林孝文1 松崎太志1 百瀬勇1
所属機関: 1島根県立中央病院精神神経科 2現,鳥取大学医学部統合内科医学講座精神行動医学分野
ページ範囲:P.801 - P.808
文献購入ページに移動精神科入院中に深部静脈血栓症,肺血栓塞栓症に罹患した7症例の臨床特徴を検討した。6症例では静脈血栓症に先行して何らかの身体疾患(肺炎,胃潰瘍など)がみられた。身体疾患や精神症状,治療方法などに起因する種々の要因のために,すべての症例で活動性が低下あるいは制限されていた。すべての症例で経口摂取が十分できておらず,5症例は軽度~中等度の脱水状態を呈していた。5症例で向精神薬が投与されていたが,投与量は少なく,関与が推測される薬物は特定できなかった。精神科領域でも静脈系の血栓症発症の可能性を念頭に置き,身体疾患の精査,脱水や長期臥床の予防,状態に応じた適切な治療方法や環境の選択などを行うことが重要である。
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