文献詳細
研究と報告
ドメスティックバイオレンス(DV)易スクリーニング尺度(DVSI)の作成および信頼性・妥当性の検討
著者: 石井朝子1 飛鳥井望1 木村弓子2 永末貴子2 黒崎美智子3 岸本淳司4
所属機関: 1東京都精神医学総合研究所ストレス障害研究部門 2武蔵野女子大学心理臨床センター 3志津クリニック 4SASインスティテュートジャパン
ページ範囲:P.817 - P.823
文献概要
ドメスティックバイオレンス(DV)被害者への援助場面で広く応用が可能な自記式簡易スクリーニング尺度の開発を目的として,DVスクリーニング尺度(Domestic Violence Screening Inventory:DVSI)を作成し,その妥当性と信頼性を検証した。我々は,すでにDVの評価尺度としてThe Revised Conflict Tactics Scales(改訂葛藤戦術尺度:CTS2)日本語版の信頼性と妥当性を検証したが,DVSIはCTS2より15設問を抽出したものである。DVSIの構成概念妥当性としては,因子分析の結果,身体攻撃と傷害,性的強要,心理的攻撃の3つの因子が確認され,CTS2の下位尺度とおおむね一致した。各下位尺度のCronbachのα係数は,身体的暴行と傷害0.93,性的強要0.89,心理的攻撃0.84であり十分な内部一貫性が認められた。また再検査信頼性については,身体的暴行と傷害0.92,性的強要0.85,心理的攻撃0.88であり,十分な信頼性が示された。DVSIは,DV被害者のスクリーニングを目的として,今後,さまざまな場面で有用な尺度となることが期待される。
なお性的強要の下位尺度項目に対する被験者の抵抗感が,スクリーニング実施の上で支障となることが予想される場合には,同下位尺度項目を省いた11項目版としても使用可能である。
掲載誌情報