文献詳細
文献概要
研究と報告
統合失調症患者における既視体験の予備的検討
著者: 足立卓也1 足立直人2 武川吉和3 赤沼のぞみ4 木村通宏1 新井平伊1
所属機関: 1順天堂大学医学部精神医学教室 2足立医院 3平塚共済病院心身医療科 4ロンドン大学キングスカレッジ病院
ページ範囲:P.835 - P.839
文献購入ページに移動これまで統合失調症患者において,既視感の出現頻度が高いものと想定されていたが,実証的な検討は少なかった。本研究では統合失調症患者(ICD-10)40例における既視感の出現頻度と特徴について,110例の健康成人を対照に,既視感質問紙(Sno)を用いて予備的検討を行った。
統合失調症群では,既視感の出現率・出現頻度とも対照群に比べ有意に低頻度であった。さらに対照群での出現頻度は,年齢が高いほど低く,学歴が高いほど高い傾向があったが,統合失調症群では年齢や学歴との関連は認めなかった。また両群の既視感経験者において,出現様態や性質に著しい相違はなかった。ただし,統合失調症群では,わずかながら心身の不快な状態で生じた。
本研究では,統合失調症患者では既視感出現頻度が低いが,既視感の質的差異は少ないことが示された。
掲載誌情報