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文献詳細

雑誌文献

精神医学45巻8号

2003年08月発行

シンポジウム 痴呆症とパーキンソン病研究の新展開―原因分子の発見をてがかりとして

Lewy小体型痴呆とParkinson病脳の変化

著者: 有馬邦正1

所属機関: 1国立精神・神経センター武蔵病院臨床検査部

ページ範囲:P.863 - P.868

文献概要

はじめに

 Parkinson病とLewy小体型痴呆の脳には,神経細胞内にLewy小体と呼ばれる特徴的な構造物が形成される。このLewy小体は,マイネルト核,視床下部,黒質・青斑核・迷走神経背側核などの脳幹諸核に選択的かつ系統的に出現し,神経細胞脱落を引き起こす。また,末梢神経系の交感神経節にも認められる。さらに,大脳皮質にも種々の頻度でLewy小体が出現する。Lewy小体型痴呆では,Lewy小体に加えて,Lewy小体関連神経突起,βアミロイド蓄積による老人斑,タウ蛋白からなる神経原線維変化,大脳皮質の海綿状変化とシナプス消失が主要な異常所見である(表)13)

 Lewy小体がα-synucleinを含むこと16),さらに,従来から電子顕微鏡(電顕)観察により“Lewy線維(Lewy-filaments)”と呼ばれていた直径10nmの異常線維がα-synucleinを主成分とすることが明らかになった2,5,17,18)。α-synucleinの線維化と線維の集塊形成がParkinson病とLewy小体型痴呆に共通する病態であることから,ここではα-synuclein線維(Lewy線維)形成を基軸として,両疾患の脳の変化を記述する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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