文献詳細
研究と報告
アルツハイマー型痴呆患者における高照度光療法とメラトニン
著者: 伊藤敬雄1 伊藤理津子2 葉田道雄2 大久保善朗2
所属機関: 1日本医科大学付属多摩永山病院精神神経科 2日本医科大学精神医学教室
ページ範囲:P.951 - P.958
文献概要
アルツハイマー型痴呆(ATD)患者において,入院による高照度光療法の血漿メラトニン分泌リズムに与える影響について検討した。結果として,CDR重症度分類における痴呆重症度の改善は認められなかったが,4週間の高照度光療法によってメラトニン分泌リズムは,痴呆軽症例ほど頂値位相の前進,夜間の分泌量と振幅の増加を認めた。また,行動量測定から夜間の睡眠の継続・異常行動の減少,日中の覚醒度の上昇・昼寝の減少が認められた。8週間の高照度光療法は,4週間の高照度光療法によって得られた概日リズムの改善効果を継続させることに有効であった。概日リズムにとって有力な同調作用を持つ高照度光療法は,ATD症例において,特に軽症例ほど,光反応性に応じて概日リズムを一定の水準まで改善し,かつ高照度光療法を継続させることで,概日リズムの改善効果を維持させる効果があると期待される。
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