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文献詳細

雑誌文献

精神医学45巻9号

2003年09月発行

文献概要

研究と報告

病態仮説に基づく治療モデルの実施で改善した,うつ状態に伴う音楽性幻聴の1例

著者: 國井泰人1 岡野高明1 丹羽真一1

所属機関: 1福島県立医科大学医学部神経精神科学講座

ページ範囲:P.973 - P.981

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抄録

 増悪と軽快を繰り返すうつ状態の経過のうち,音楽性幻聴が出現した高齢難聴女性の症例を経験したので報告する。本症例は計15回の入院歴,約30年の経過を持つうつ状態で,ほぼあらゆる抗うつ薬,抗精神病薬に抵抗性であり,加えて2年前より口部ジスキネジアが出現,同時期より「口の中から歌が出る」という音楽性幻聴がみられるようになった。今回入院後検査所見をもとに病態仮説を構築,それに基づきカルバマゼピン投与を中心とした治療モデルを実施したところ,音楽性幻聴の改善が認められ,それに伴いSPECT所見において症状発現時期にみられた,縁上回,角回を含む右側下頭頂小葉から上側頭回にかけての領域の血流増加が消失した。また興味深いことに本症例でみられた音楽性幻聴はHRSDスコアの値と相関を示し,うつ状態との関連が示唆された。本稿では本症例でみられた音楽性幻聴の発現機序について,得られた検査所見,臨床所見をもとに考察し,またそれに基づく治療について論じた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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