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短報
SESA(subacute encephalopathy with epileptic seizures in chronic alcoholism)症候群の1例
著者: 稲見康司12 山田則夫3 三宅香4 鈴木義之5 宮岡剛2 堀口淳2
所属機関: 1愛媛労災病院精神科 2島根医科大学精神医学講座 3愛媛労災病院神経内科 4愛媛労災病院臨床検査部 5愛媛労災病院内科
ページ範囲:P.983 - P.986
文献購入ページに移動習慣性飲酒の結果として種々の身体症状が出現することが知られている。中枢神経系の症状も多彩であり,振戦せん妄やWernicke脳症などその多くはアルコール離脱と関連して出現する。やはり離脱症状の1つと考えられているアルコールてんかんは,通常全般発作の形態をとり,脳波検査では局在性の異常波が発見されないことがその特徴とされている。
今回我々は,意識障害を伴う右顔面に限局した運動発作の重積状態で救急外来を受診し,経過中の脳波検査で,左後側頭部に局在する不規則な鋭波やPeriodic lateralized epileptiform discharges(PLEDs)が出現するアルコールてんかんと考えられる症例を経験した。本例では,可逆性の右不全片麻痺も同時に認められ,これらの臨床特徴からSESA(subacute encephalopathy with epileptic seizures in chronic alcoholism)症候群と診断した。SESA症候群は,通常のアルコールてんかんとは異なる稀な状態と考えられ,若干の文献的な考察も含めて報告する。
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