文献詳細
書評
―T.Hmanaka,G.E.Berrios編―Two Millenia of Psychiatry in West and East フリーアクセス
著者: 酒井明夫1
所属機関: 1岩手医科大学神経精神科
ページ範囲:P.1016 - P.1016
文献概要
本書はその結晶である。内容は三部に分かれ,それぞれ西洋,東洋の精神医学史,社会・文化的脈絡における精神医学史について数篇の論文が収められている。寄稿者たちはいずれも精神医学史の第一線で活躍中の優れた研究者であり,彼らが一堂に会したこのアンソロジーはそれだけでも価値が高いと言わねばならない。加えて各論文のテーマがきわめて興味をそそられる種類のものである。本書の論文はすべて英語で書かれているが,たとえば第一部の「西洋」に所収の表題を和訳して紹介してみる。「ガレノスの精神医学」(V.Barras),「パラケルススと精神医学」(H.Schott),「イマジナティオ/ハルシナティオ(F.プラッター)からアリュシナシオン/イリュジョン(J.-E.D.エスキロール)へ」(T.Hamanaka),「ピネルとフランス精神医学の始まり」(J.Pigeaux),「エミール・クレペリンの臨床精神医学の概念」(P.Hoff),「精神医学の言語とその歴史」(G.E.Berrios)といったテーマ群はおそらく,西欧の精神医学史に興味を持つ人だけではなく,およそ精神医学に携わる人すべてにとって見逃せないものだろう。
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