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文献詳細

雑誌文献

精神医学46巻1号

2004年01月発行

文献概要

研究と報告

神経遮断薬誘発性遅発性ジスキネジアのクエチアピンによる治療

著者: 高橋三郎1 大曽根彰1 磯野友厚1 塩入俊樹2

所属機関: 1埼玉江南病院 2新潟大学大学院医歯学総合研究科精神医学分野

ページ範囲:P.49 - P.57

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抄録

 非定型抗精神病薬のうちquetiapineはclozapineに類似し,低力価,鎮静系で,D2受容体遮断作用が極めて弱いため,特に錐体外路症状の出やすい症例に使用できると言われる。この2,3年,神経遮断薬,特に定型抗精神病薬服用中に遅発性ジスキネジアを発症した症例にquetiapineが有効であったという症例報告がみられ,今日まで合計11例の症例が報告されている。この治療効果を確認するため,50,60歳代の入院患者8例(うち7例は慢性統合失調症)に対し従来の抗精神病薬をquetiapine50~750mg単剤に置き換え,異常不随意運動評価尺度(AIMS),錐体外路系副作用尺度(ESES),簡易精神症状評価尺度(BPRS),欠損症候群評価尺度(SDS)などの評価尺度を用いて3か月にわたって症状の変化を評価した。

 投薬開始1か月以内にAIMSが50%以上改善した者は5例あったが,うち2例は陽性症状悪化のため2か月後quetiapineの投与を中断した。ほかは3か月の投薬期間でジスキネジア症状の再燃がなく,また陽性,陰性症状の悪化もみられなかった。

 Quetiapineは,神経遮断薬誘発性遅発性ジスキネジアという患者の苦痛を軽減し,QOLを改善するために有用性のある薬物と思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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