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文献詳細

雑誌文献

精神医学46巻10号

2004年10月発行

特集 精神科医療における介護保険制度

かかりつけ医と精神科医療間の連携

著者: 野中博1

所属機関: 1日本医師会

ページ範囲:P.1079 - P.1084

文献概要

はじめに

 わが国の平均寿命は,戦後の約50年間に男女とも伸び,男性76歳,女性84歳と報告され,また65歳以上の高齢者が国民の14%以上を占め高齢社会と表現されている。長生きできることは誰もが望んでいたことであり,本来すばらしいことである。さらにわが国の高齢者は,大なり小なりわが国の戦後の復興に多大に寄与された方であり,高齢者にはすばらしい余生を送っていただきたいし,送ることができるべきである。しかしさまざまな高齢者の現状を見るとき,生活の質(QOL)への配慮がなされているか?生命の尊厳が守られているか?などについて疑問を感じることが多い。高齢者の人生にとって非常に寂しい状況であると思わずにいられない。なかでも痴呆の症状を有された高齢者(以下,痴呆性高齢者と略す),そしてその家族の現状には大きな課題を抱えている。痴呆はある面では寿命が伸びたことによってもたらされた状態でもある。痴呆性高齢者にとってもやさしい社会を構築しなければ,われわれにとっても安らげる社会ではない。

 これからの社会が,すべての人々にとって豊かで楽しく安心して幸福が実感できるようになるためには,保健・医療・福祉サービスの充実が必要であり,特に医師の役割とその期待はまさに大きい。特に地域において,高齢者,なかでも痴呆性高齢者に対して生活や人生を中心的に支援する役割を担う「かかりつけ医」と,痴呆のさまざまな困難な症状に対して専門的に対応する役割を担う精神科医,すなわち「専門医」との連携体制の構築は,今後もっとも期待される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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