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研究と報告
本邦におけるMDMA関連精神障害の乱用背景・診断・治療の検討
著者: 一ノ瀬真琴1 倉田健一1 清水賢1 中島憲一郎2 小沼杏坪3
所属機関: 1医療法人せのがわ瀬野川病院 2長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 3医療法人せのがわKONUMA記念広島薬物依存研究所
ページ範囲:P.1105 - P.1112
文献購入ページに移動近年,3,4-Methylenedioxymethamphetamine(MDMA)を主成分とする錠剤型合成麻薬が若者の間に急速に普及しているが,本邦におけるMDMA関連精神障害に関する実態はほとんど把握されていないのが現状である。本報告では,1998~2002年度の間に厚生労働省依存性薬物情報研究班(班長:加藤伸勝,事務局:国立下総療養所)に精神科協力モニター施設から報告されたMDMAの乱用・依存の事例に自験例1例を加えた計12例に関する依存性薬物情報報告書の項目について検討を行い,特に25~30歳代の若年層にMDMAの乱用が広まっている結果を示した。またその診断においてはMDMA精神病患者の毛髪からMDMA定量を行ったところ,その乱用の経過を正確に反映していることから重要な補助診断であると考えられた。最近,取締機関によるMDMAの押収量が急増していることからも,今後,MDMA関連精神障害(急性中毒,依存症,精神病)の患者が医療機関を受診する機会が急増することが予想され,医療従事者もその臨床上の特徴,診断,治療法を把握しておく必要があると思われる。
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