文献詳細
研究と報告
せん妄に対するrisperidone内用液の使用経験
著者: 戸田裕之1 佐々木幸哉1 伊藤耕一1 仲唐安哉1 賀古勇輝1 伊藤候輝1 増井拓哉1 久住一郎1 小山司1
所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科神経機能学講座精神医学分野
ページ範囲:P.1163 - P.1167
文献概要
リスペリドン内用液(RIS-OS)を用いたせん妄の治療経験について報告した。対象はDSM-IVに基づいて診断されたせん妄の10例で,うち6例が,絶食または絶飲食を指示されていた。せん妄の重症度評価にはTrzepaczらのDelirium Rating Scale を用いた。RIS-OSを1日1回夕食後0.5mg/日で投与を開始し,その後,必要に応じて,追加投与・増減量・投与時間の調整を行った。全対象症例の,第0日目のDRS得点(平均±標準偏差)は19.6±3.2点,第7日目のDRS 得点(平均±標準偏差)は11.3±5.5点であった。RIS-OS投与により9例が寛解に至った。寛解までに要した期間は平均6.1日,RIS-OSの最高投与量は平均1.38mg/日であった。重篤な有害事象は生じなかった。これらの結果から,せん妄治療におけるRIS-OSの高い有用性と忍容性が示唆された。特に経口服薬困難例に対して,RIS-OSは第一選択薬として試みられるべき価値のある薬物であると考えられた。
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