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文献詳細

雑誌文献

精神医学46巻12号

2004年12月発行

文献概要

研究と報告

塩酸donepezil投与により意欲改善をみた右視床前部梗塞の1例

著者: 北林百合之介1 上田英樹1 國澤正寛1 濵元泰子1 田村雅也1 松本良平1 福居顯二1

所属機関: 1京都府立医科大学大学院医学研究科精神機能病態学

ページ範囲:P.1275 - P.1281

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抄録

 右視床前部梗塞の1例を経験した。症例は76歳右利き女性。72歳より意欲低下,物忘れが出現。頭部MRIで右視床前部梗塞,右乳頭体萎縮,SPECTで右視床,右大脳半球の血流低下を認めた。神経心理学検査では前頭葉機能,記憶,構成の障害を認めた。記憶障害については時間的順序の記憶と遅延再生の障害が優位であった。塩酸donepezil投与後,両側前頭葉および右視床の血流が増加し,意欲の改善が認められた。右視床前部梗塞においては,連絡を持つ同側の前頭葉,その他の大脳皮質,Papez回路の機能障害から上述の症状が出現すると考えられた。また,同病態の改善に塩酸donepezilが有効である可能性が示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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