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研究と報告
アルコール幻覚症からペラグラ脳症に移行した1女性例
著者: 馬場奏子1 馬場元2 大沼徹2 木村通宏1 高橋正1 鈴木利人2 新井平伊1
所属機関: 1順天堂大学医学部精神医学教室 2順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院
ページ範囲:P.1283 - P.1288
文献購入ページに移動アルコール依存症から反復的にアルコール幻覚症をきたし,ペラグラ脳症に至った1症例を経験した。本例は統合失調症との鑑別を要したが,幻聴や妄想が習慣的な飲酒期間中に出現し,断酒後も相当期間続く傾向があった。また,上記の精神病状態に対して健忘も認めた一方,思考障害は目立たず,アルコール幻覚症と診断した。当院入院後に約1か月間の幻覚症を経てペラグラ脳症が顕在化した。本例はアルコール幻覚症の一部にアルコール依存による器質性精神障害に近縁な病態が存在する可能性を示唆しているものと思われた。今後アルコール幻覚症の病因におけるビタミンB群の関与についてより詳細な検討が必要であると思われた。
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