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短報
精神病患者におけるイソニアジド投与がハロペリドール血中濃度に及ぼす影響
著者: 有賀晶子1 石塚しげ子1 城井正憲1 斉藤幹郎1
所属機関: 1啓心会岡田病院
ページ範囲:P.1335 - P.1338
文献購入ページに移動精神科病院で結核患者が発生した場合,周囲の二次的感染者に対して,抗結核薬の予防投与を行うか否かは,薬物相互作用などが不明のため難しい問題である。抗結核薬を予防投与する場合は,結核を発症する確率は低くなるが,薬物相互作用のため精神症状が不安定になる可能性もあり,予期せぬ副作用が出現する可能性もある。一方,抗結核薬の予防投与をしない場合は,結核の発症におびえなければならない。
当院では1999年に1名の肺結核患者の発見を端緒として,肺結核の集団感染という事態に至った。数名の発症者が出た2001年より,感染者の発症予防のため,積極的に抗結核薬イソニアジド(以下INH)の投与を行うこととした。抗結核薬リファンピシンが酵素誘導によりハロペリドール(以下HPD)の代謝速度を速め,HPDの血中濃度を低下させることは知られているが3,5),INHが向精神薬に及ぼす影響についての報告5,6)は少なく,手探りでの投与開始となった。INH投与により,統合失調症の代表的治療薬であるHPDの血中濃度が影響を受けるかどうか,精神症状,副作用などに変化がみられるかどうかについて,同一個体で経時的に,かつ,多人数のデータが得られたので報告する。
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