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文献詳細

雑誌文献

精神医学46巻2号

2004年02月発行

文献概要

展望

痴呆の薬物療法

著者: 都甲崇1 小阪憲司12

所属機関: 1横浜市立大学医学部精神医学教室 2福祉村病院

ページ範囲:P.124 - P.132

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はじめに

 痴呆でみられる症状は,中核症状である認知障害と随伴症状である精神症状や行動障害に分けられ,薬物療法もそれぞれの症状に対して行われる。かつてはきわめて限定的であったその薬物療法は,近年のさまざまな新薬の登場とエビデンスの蓄積によって大きく変化した。認知障害に対しては,アセチルコリンエステラーゼ(acetylcholinesterase;AChE)阻害薬の使用が可能となり,その使用頻度が急増している。さらに現在,認知障害に対する多数の薬剤の開発が進められている。また,精神症状や行動障害は近年まとめてBPSD(Behavioral and psychological symptoms of dementia)と呼ばれるが,その薬物療法ではかつてのhaloperidolに代わってrisperidoneやolanzapineなどの非定型抗精神病薬が使用されることが多くなった。本稿では,まず,認知障害に対する薬物として,AChE阻害薬とグルタミン酸NMDA(N-methyl-D-aspartate)受容体阻害薬であるmemantineについて概説する。AChE阻害薬では,わが国ではdonepezilのみが使用可能であるが,現在galantamineの臨床開発が進められている。また,memantineは重度のアルツハイマー型痴呆(Alzheimer-type dementia;ATD)に対する治療薬として世界で唯一承認されている薬剤であり,わが国でも臨床開発が行われている。また,BPSDに対する薬物としては,現在わが国で使用可能な向精神薬の中で,痴呆に対する使用頻度の高い薬剤を取り上げ,いずれの薬剤についても二重盲検比較試験の結果を中心に紹介する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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