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研究と報告
バルプロ酸が用量依存的に病相予防効果を発揮した双極性感情障害の1症例
著者: 谷口隆英1 友竹正人1 大森哲郎1
所属機関: 1徳島大学医学部医学科情報統合医学講座精神医学分野
ページ範囲:P.161 - P.165
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症例は68歳,男性。34歳時に発病し,躁・うつの各病相を繰り返していた。63歳時に躁病エピソードが生じ,その後1年9か月間に6回のエピソードが生じた。他の気分安定薬では効果不十分または副作用が生じたため,バルプロ酸(VPA)の投与を開始した。400~800mg(血中濃度22~28μg/ml)を投与した9か月間は,軽症化したものの6回の気分変調が生じた。VPAを1,400mg(血中濃度72~85μg/ml)としたところ,短期間の軽躁状態が1回生じたのみで現在までの約3年間VPA単剤でほぼ寛解状態を維持することができている。VPAによる気分障害の治療に際しては,血中濃度を測定しながら効果を評価し,十分な用量を投与することが重要であると考えられた。
症例は68歳,男性。34歳時に発病し,躁・うつの各病相を繰り返していた。63歳時に躁病エピソードが生じ,その後1年9か月間に6回のエピソードが生じた。他の気分安定薬では効果不十分または副作用が生じたため,バルプロ酸(VPA)の投与を開始した。400~800mg(血中濃度22~28μg/ml)を投与した9か月間は,軽症化したものの6回の気分変調が生じた。VPAを1,400mg(血中濃度72~85μg/ml)としたところ,短期間の軽躁状態が1回生じたのみで現在までの約3年間VPA単剤でほぼ寛解状態を維持することができている。VPAによる気分障害の治療に際しては,血中濃度を測定しながら効果を評価し,十分な用量を投与することが重要であると考えられた。
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