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痴呆症にみられたせん妄について―痴呆病棟入院患者における実態
著者: 塩崎一昌14 日野博昭12 瀬川光子1 小阪憲司23
所属機関: 1横浜舞岡病院 2横浜市立大学医学部精神医学 3現,福祉村病院 4現,横須賀市立市民病院精神科
ページ範囲:P.167 - P.172
文献購入ページに移動せん妄は,痴呆症に合併しやすく,その介護や看護において最も問題になる症状である。我々は,自宅または介護施設から精神科病院痴呆病棟に入院した男性227名,女性207名の計434名の患者について,入院時にせん妄を伴った群と伴わなかった群に区分し,患者側の要件や介護者の状況などについて比較検討した。
せん妄群には男性が有意に多く,入院時年齢の平均値が有意に高かった。身体合併症の併発率はせん妄群で有意に高率で,内訳としては高血圧と心疾患の合併率が有意に高かった。診断については,せん妄群の入院患者には血管性痴呆やレビー小体型痴呆が有意に多かったが,逆にアルツハイマー型痴呆や前頭側頭型痴呆は有意に少なかった。介護者について,せん妄群では妻のみが介護している状況が有意に高率だった。入院時にみられた精神症状や行動異常については,せん妄群では,睡眠障害,暴力・興奮,幻覚・妄想,自傷行為・希死念慮といった項目が有意に高率であった。以上は痴呆症におけるせん妄合併の危険要因と考えられた。
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