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文献詳細

雑誌文献

精神医学46巻3号

2004年03月発行

文献概要

研究と報告

遅発性摂食障害について

著者: 木村宏之1 外ノ池隆史1 室谷民雄1

所属機関: 1名古屋第二赤十字病院精神科

ページ範囲:P.235 - P.242

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抄録

 摂食障害は,思春期に好発し,医学的関心も思春期心性との関連に注がれてきた。しかしながら,近年,児童期の症例や中年期の症例など,思春期以外に発症する症例の増加が認められてきている。

 今回,4例の遅発性摂食障害を経験した。4症例を通じ,思春期症例との比較や過去の文献を検討して,以下の知見を得た。(1)現実的な分離・喪失体験の影響が大きい。(2)重症化には,中年期における環境の硬直化が関与する。

 摂食障害の発症機転や精神病理において,精神発達上の分離・喪失体験が重要視される。思春期の摂食障害では,心理的(内的)な分離・喪失体験の影響が大きいことに対し,遅発性摂食障害では,現実的(外的)な分離・喪失体験の影響が大きかった。これは,一般に,中年期が,各種の現実的な分離・喪失体験や幼少期の葛藤の再燃などを認める精神発達上の危機心性を持つこととも関連していると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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