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研究と報告
運動減退状態で深部静脈血栓症を合併した2例―精神科領域における運動減退と血栓形成リスク
著者: 高柳功1 草島義徳2 川島五月2
所属機関: 1四方会有沢橋病院 2富山市民病院胸部血管外科
ページ範囲:P.271 - P.277
文献購入ページに移動静脈血栓の主要な形成要因,①血流の停滞②血管壁の損傷③血液凝固の亢進のうち,精神科領域では運動減退による血流の停滞が最も重要である。運動減退状態で深部静脈血栓症(DVT)を合併した2例を報告した。
症例M.S.:53歳男性。躁状態のため3回目の入院。入院後うつ病性亜昏迷状態となり,うつ状態になって19日目に左下肢腫脹が出現した。左総腸骨静脈血栓を確認。ヘパリンによる抗凝固療法を行ったが,二次性肺塞栓を併発した。患者は回復した。
症例U.I.:37歳男性。非定型精神病およびてんかん。水中毒を防止するため1週間隔離したところ右下肢が腫脹,DVTを合併した。
精神科領域では患者の精神症状や身体拘束によりしばしば運動減退が生じる。水分や食事摂取が不十分なこともある。このようなDVTの危険因子については十分注意すべきである。
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