文献詳細
短報
Refeeding syndromeによるせん妄を呈した神経性無食欲症の1例
著者: 井出真紀1 埴原秋児12 佐久間文子1 原田謙1 高橋徹1 天野直二1
所属機関: 1信州大学医学部精神科 2信州大学医学部保健学科
ページ範囲:P.287 - P.290
文献概要
摂食障害,特に神経性無食欲症(anorexia nervosa;AN)は重篤な低栄養状態を呈することが多く,身体合併症や低栄養などの身体症状の治療のために入院加療が行われることも多い。重篤な飢餓状態では,原疾患による身体症状以外にも栄養治療に伴って重篤な身体症状が発生することがある。再栄養症候群(refeeding syndrome;RS)は,極端な体重減少あるいは低栄養状態にある患者が急激に栄養補給(再栄養)される際に生じる低リン血症を主体とした電解質異常や水分貯留などの急激なホメオスターシスの変化を主体とする病態である。RSの報告は基礎疾患にANを持つものが多く,RSはANの栄養治療中に起こりうる最も重篤な合併症の1つである2,12)。我々は,入院治療を契機に食事量が増加し,その後にせん妄を伴う重篤な低リン血症を呈したANの症例を経験したので報告する。
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