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文献詳細

雑誌文献

精神医学46巻3号

2004年03月発行

文献概要

短報

塩酸ドネペジルにより悪性症候群を呈したアルツハイマー型痴呆の1例

著者: 星越活彦1 中岡健太郎1

所属機関: 1三光病院精神科

ページ範囲:P.303 - P.306

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はじめに

 塩酸ドネペジル(ドネペジル)は,わが国で初めて開発されたアルツハイマー型痴呆に対する治療薬であり,脳内のアセチルコリンエステラーゼを特異的に阻害することでシナプス間隙のアセチルコリン量を増加させる。そして,アルツハイマー型痴呆患者で低下した脳内コリン作動性神経における神経伝達を賦活化し認知機能を改善する効果を有している10)。精神神経系の副作用として,興奮や不眠,錯乱,抑うつ,不安,めまいなどが示されている4,11)。そのほかに,アルツハイマー型痴呆患者でせん妄が認められたとの報告14)や活動量が増加し易怒性や性欲が亢進したため逆に介護者の負担が増したとの報告8)がある。また,パーキンソン病やレビー小体型痴呆の患者では,錐体外路症状が顕在化し悪化した症例も報告されている3,9,12,13)

 今回我々は,アルツハイマー型痴呆患者にドネペジルを投与していたところ,悪性症候群を呈した症例を経験したので若干の考察を加え報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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