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市立旭川病院精神神経科における思春期患者の実態―思春期外来開設後10年間の外来統計から
著者: 目良和彦1 武井明2 太田充子1 高田泉1 佐藤譲1 原岡陽一1 小西貴幸3 駒井厚子4 水元陽子5
所属機関: 1市立旭川病院精神神経科 2旭川医科大学保健管理センター 3市立旭川病院小児科 4六条神経科 5旭川福祉専門学校
ページ範囲:P.307 - P.315
文献購入ページに移動近年,少子化や高度情報化という急激な社会変化に伴って,これまでの親子関係や家庭の役割も変わり始めている。その中で,子どもたちは豊かな人間関係を経験することが難しい状況に置かれている。また,子どもたちの心の問題も複雑・多様化しており,不登校,引きこもり,いじめ,摂食障害,多動,児童虐待などが社会的な関心を集めるようになっている。
市立旭川病院精神神経科(以下,当科と略)では,1980年代から不登校をはじめとする思春期患者が増加を示し,学校だけでの対応が困難な種々の精神身体症状を呈する患者も多くみられるようになった20)。このような状況の中で,思春期の子どもたちが気軽に受診できる精神科の必要性が高まり,1991年1月から思春期外来を当科に開設し,日常診療を行いながら,思春期患者の治療にも携わるという体制を続けている。我々は,すでに思春期外来開設後6年間の診療統計について報告しているが15),今回はさらに4年分のデータを加えた10年間の診療統計を集計し,精神科を受診する思春期患者の最近の特徴を明らかにしたい。
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