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研究と報告
高次救命救急センターに入院した自殺未遂患者とその追跡調査―精神科救急対応の現状を踏まえた1考察
著者: 伊藤敬雄1 葉田道雄1 木村美保1 黒川顕2 黒澤尚23 大久保善朗3
所属機関: 1日本医科大学附属多摩永山病院精神神経科 2日本医科大学救命救急医学教室 3日本医科大学精神医学教室
ページ範囲:P.389 - P.396
文献購入ページに移動多摩永山病院高次救命救急センター(CCM)に1年間に入院した患者のうち,自殺未遂患者の割合は12%(103例/840例)であった。自殺未遂複数回症例を調査すると,30歳未満の女性,適応障害,人格障害に多かった。完遂の危険性が高い手段を選択した症例は,壮年期,気分障害圏,統合失調症圏に多かった。コンサルテーション・リエゾンサービス(CLS)によって自殺未遂患者の81%を精神医療につなげられた。また精神科治療歴のない自殺未遂患者は48%認めたが,その71%を精神医療につなげられた。CCM退院2年後の追跡調査の結果,77%が通院を継続していた。再自殺は27%に認められ,1年以内の再自殺は88%であった。再自殺を図った患者の81%が前回と同じ自殺手段をとった。適応障害,人格障害では治療中断例が多く,適応障害の48%,人格障害の59%に再自殺を認め,両疾患の退院後の精神科アフターケアについて課題が残された。
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