文献詳細
研究と報告
覚醒剤乱用と肝性脳症を合併し診断に苦慮したレビー小体型痴呆の1例
著者: 北林百合之介1 上田英樹1 中前貴1 濵元泰子1 小尾口由紀子1 成本迅1 福居顯二1
所属機関: 1京都府立医科大学大学院医学研究科精神機能病態学
ページ範囲:P.397 - P.402
文献概要
覚醒剤乱用や肝性脳症を合併し,診断に苦慮したレビー小体型痴呆(DLB)の1例を経験した。66歳女性。約40年の覚醒剤乱用歴があり肝硬変を合併。肝性脳症にて内科に入院したが,肝機能改善後も,幻視や認知機能障害が持続したため精神科へ転科。転科後も肝機能とは関係なく症状が変動。抗精神病薬投与にてむしろ症状は悪化した。MRIでは軽度の脳萎縮と虚血性変化を認め,SPECTではDLBに特徴的な後頭葉での血流低下を認めた。塩酸donepezilの投与開始後,症状は安定。せん妄の原因となる合併症を伴う場合,現在の臨床診断基準のみではDLBの診断は容易ではなく,SPECTなどの脳機能画像が有用と考えられた。
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