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研究と報告
精神科病院長期在院者の退院に関連する要因の検討
著者: 下野正健1 藤川尚宏1 吉益光一2 小原喜美夫1 浜田博文1 加藤泰裕1 平城カトミ1 清原千香子2 末次基洋1
所属機関: 1福岡県立精神医療センター大宰府病院 2九州大学大学院医学研究院社会医学講座予防医学分野
ページ範囲:P.403 - P.414
文献購入ページに移動精神科病院長期在院者の退院関連要因を検討するために,5年以上の在院者266名の臨床要因と社会要因を調べた。その後,2年9か月の間,退院促進を行った。そして,この期間に退院できた群とそうでない群を比較することによって,退院関連要因を統計的に評価した。
全員の長期在院者を対象とした解析では,知的障害群は統合失調症群に比べて退院しやすく(OR6.9,95%CI1.9-24.9),全般的生活機能が低い人(OR0.3,CI0.1-0.7),対人障害が強い人(OR0.2,CI0.1-0.7)や現実検討能力の障害がある人(OR0.4,CI0.2-1.0)は退院しにくいことがわかった。他方,対象を統合失調症のみに限定した場合,活動性の低下がある人(OR12.3,CI2.8-54.2)が退院しやすく,思考障害(OR0.1,CI0.0-0.7)や認知障害がみられる人(OR0.1,CI0.0-0.6)は退院しにくいことがわかった。
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