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職場のメンタルヘルス―その歴史と今日的問題
著者: 廣尚典1 島悟2
所属機関: 1こうかん会鶴見保健センター 2東京経済大学経営学部
ページ範囲:P.460 - P.472
文献購入ページに移動はじめに
職場のメンタルヘルスが,かつてないほどの関心を幅広い方面から集めている。新聞や雑誌などの特集記事は後を絶たず,現状を知るために有用な大規模調査の結果も報告されている。
例えば,2002年全国1,800人を対象として行われたNHKの「日本人のストレス実態調査」の結果報告では,勤労者の主なストレス要因として「仕事の多忙さ」「先の見通しが立たないこと」「老後の生活への経済的な不安」などがあげられている81)。2003年の労働組合を対象とした調査では,241組合の67.2%で組合員の「心の病気」の増加傾向がみられ,63.5%に1か月以上の「心の病気」の休業者がいることが明らかになっている96)。労働者健康状況調査は,5年ごとに厚生労働省が実施している大規模な全国調査で,約12,000事業所(事業所調査),16,000人の勤労者(労働者調査)を対象としている。2002年度の調査結果では,仕事,職業生活に「強い不安,悩み,ストレスがある」勤労者は61.5%(1997年62.8%,1992年57.3%)であり,こうした現状に対して,メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所は,23.5%(1997年26.5%,1992年22.7%)となっている。ただし,その内容を見ると,相談対応,教育などを実施している割合は大幅に増大しており,実質的な取組みは進んでいると解釈できる86)。
本稿では,この主題に関して,過去の流れをごく大まかに振り返りながら,今日的問題および今後の課題を論じたい。
職場のメンタルヘルスが,かつてないほどの関心を幅広い方面から集めている。新聞や雑誌などの特集記事は後を絶たず,現状を知るために有用な大規模調査の結果も報告されている。
例えば,2002年全国1,800人を対象として行われたNHKの「日本人のストレス実態調査」の結果報告では,勤労者の主なストレス要因として「仕事の多忙さ」「先の見通しが立たないこと」「老後の生活への経済的な不安」などがあげられている81)。2003年の労働組合を対象とした調査では,241組合の67.2%で組合員の「心の病気」の増加傾向がみられ,63.5%に1か月以上の「心の病気」の休業者がいることが明らかになっている96)。労働者健康状況調査は,5年ごとに厚生労働省が実施している大規模な全国調査で,約12,000事業所(事業所調査),16,000人の勤労者(労働者調査)を対象としている。2002年度の調査結果では,仕事,職業生活に「強い不安,悩み,ストレスがある」勤労者は61.5%(1997年62.8%,1992年57.3%)であり,こうした現状に対して,メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所は,23.5%(1997年26.5%,1992年22.7%)となっている。ただし,その内容を見ると,相談対応,教育などを実施している割合は大幅に増大しており,実質的な取組みは進んでいると解釈できる86)。
本稿では,この主題に関して,過去の流れをごく大まかに振り返りながら,今日的問題および今後の課題を論じたい。
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