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研究と報告
統合失調症に関する家族心理教育プログラムの家族の視点からみたプロセス評価(第2報)―プログラム実施要素の家族による認知度と介入効果の関連
著者: 福井里江1 大島巌2 瀬戸屋(大川)希2 長直子3 岡伊織4 吉田光爾2 伊藤順一郎5 浦田重治郎6
所属機関: 1日本学術振興会科学技術特別研究員,元東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野 2東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野 3東京都精神医学総合研究所精神看護研究部門 4全国精神障害者家族会連合会保健福祉研究所 5国立精神・神経センター精神保健研究所 6国立精神・神経センター武蔵病院
ページ範囲:P.487 - P.492
文献購入ページに移動全国の精神科医療機関11施設で行った家族心理教育プログラムのプロセス評価の一環として,「心理教育プログラム実施要素の家族による認知尺度(FPPIE)」で評価した介入プロセスの到達度が介入効果に関連するかどうかを検討した。対象は,プログラムに2回以上参加した,統合失調症を持つ人の家族56名であった。その結果,実施要素の到達度が高かった家族では知識度の上昇,本人への拒否的感情の低下,自尊感情の上昇といった改善が認められたが,低かった家族では知識度のみが上昇していた。また,本人への拒否的感情の低下の度合いは到達度の高い群のほうが低い群よりも有意に大きかった。家族心理教育プログラムの効果を高めるには,FPPIEに示した実施要素が参加者に十分届くことが重要であり,プロセス評価尺度としてのFPPIEの有用性が確認された。
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