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研究と報告
Paroxetine内服中に低ナトリウム血症を来し,SIADHと診断された2高齢患者
著者: 市村麻衣12 森田幸代1 田中和秀1 廣兼元太1 下田和孝3 山田尚登1 大川匡子1
所属機関: 1滋賀医科大学精神医学講座 2西山病院 3獨協医科大学精神神経医学
ページ範囲:P.505 - P.511
文献購入ページに移動近年うつ病の治療に選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が使用される頻度が高まってきているが,今回我々は,うつ病治療に対してSSRIであるparoxetineの投与開始後に低Na血症を来しSIADHと診断された高齢患者2例(72歳男性,75歳女性)を経験した。この2症例は本邦におけるparoxetineによるSIADHの初めての報告である。paroxetineの1日投与量は20mg/日であり,投与開始後,各々16日目,2日目で低Na血症の症状である全身倦怠,嘔気,意識障害が出現し,血清Na濃度(最低値)は,それぞれ122mEq/l,107mEq/lであった。paroxetine投与を中止し,水制限を行って血清Na濃度の補正を行ったところ速やかに上記症状は消失した。特に高齢者に対してSSRIを投与する際には注意が必要である。
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