文献詳細
文献概要
特集 精神科医療における危機介入
精神科医療における危機介入と精神科診療所の役割
著者: 羽藤邦利1
所属機関: 1精神科,代々木の森診療所
ページ範囲:P.585 - P.590
文献購入ページに移動危機とは
「危機」とはわかりやすい言葉のようでいて,いざ定義しようとすると意外に難しい。肉親の喪失やリストラなど,生活を破綻させかねない「状況」を指すこともある。そうした状況に対応できないで,不安定となっている本人の「状態」を指すこともある。状況が悪いと状態が悪くなり,状態が悪いと状況が悪くなるから,状況の危機と状態の危機は常にワンセットである(表)。状況の危機を「危機状況」,状態の危機を「危機」と表現することが多い。本稿でもそれにならうことにする。主に状況が厳しいために起きている危機もあれば,本人の状態が著しく不安定であるために起きている危機もある。災害や重大な事件で引き起こされた危機などは前者であり,統合失調症の再燃による危機などは後者である。精神科医療では主には後者の危機を扱うが,前者の危機も精神科医療の対象となりうる。
「危機」とはわかりやすい言葉のようでいて,いざ定義しようとすると意外に難しい。肉親の喪失やリストラなど,生活を破綻させかねない「状況」を指すこともある。そうした状況に対応できないで,不安定となっている本人の「状態」を指すこともある。状況が悪いと状態が悪くなり,状態が悪いと状況が悪くなるから,状況の危機と状態の危機は常にワンセットである(表)。状況の危機を「危機状況」,状態の危機を「危機」と表現することが多い。本稿でもそれにならうことにする。主に状況が厳しいために起きている危機もあれば,本人の状態が著しく不安定であるために起きている危機もある。災害や重大な事件で引き起こされた危機などは前者であり,統合失調症の再燃による危機などは後者である。精神科医療では主には後者の危機を扱うが,前者の危機も精神科医療の対象となりうる。
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