文献詳細
文献概要
特集 精神科医療における危機介入
危機介入の評価
著者: 伊藤弘人1
所属機関: 1国立保健医療科学院経営科学部サービス評価室
ページ範囲:P.607 - P.613
文献購入ページに移動はじめに
「危機介入の評価」は立場や関心によって2つの異なる意味を持つ場合がある。臨床家にとっての危機介入の評価とは,危機的状況への介入が適切であったのかを評価することであろう。その目的は,電話,初回面接時や入院時の対応は適切であったのかを評価し,今後さらによい介入方法を検討することである。一方,政策担当者や政策研究者は,危機介入の「制度(仕組み)」を評価することを思い浮かべることが多い。措置制度や移送制度などを,危機介入という文脈から評価するというものである。
この違いは,評価する対象が実際の「介入の質」であるのか,「介入の制度(例:プログラム)」であるのかという違いに起因する。前者は個々の患者・利用者へのサービスに焦点を当てると考えるのが一般的である2)。後者は個々のサービスを意味する場合は類似するが,通常個別サービスにとどまらず,広く制度一般を評価することもある。
両者には共通部分は多く,個々の介入の質の評価で十分な場合が多い。しかし,後述する「隠れている危機の評価」には,後者の視点が必要となる。そこで,本論では,危機介入の評価の枠組みを整理し,まず介入の質の評価を述べ,最後に制度の評価について考えてみたい。
「危機介入の評価」は立場や関心によって2つの異なる意味を持つ場合がある。臨床家にとっての危機介入の評価とは,危機的状況への介入が適切であったのかを評価することであろう。その目的は,電話,初回面接時や入院時の対応は適切であったのかを評価し,今後さらによい介入方法を検討することである。一方,政策担当者や政策研究者は,危機介入の「制度(仕組み)」を評価することを思い浮かべることが多い。措置制度や移送制度などを,危機介入という文脈から評価するというものである。
この違いは,評価する対象が実際の「介入の質」であるのか,「介入の制度(例:プログラム)」であるのかという違いに起因する。前者は個々の患者・利用者へのサービスに焦点を当てると考えるのが一般的である2)。後者は個々のサービスを意味する場合は類似するが,通常個別サービスにとどまらず,広く制度一般を評価することもある。
両者には共通部分は多く,個々の介入の質の評価で十分な場合が多い。しかし,後述する「隠れている危機の評価」には,後者の視点が必要となる。そこで,本論では,危機介入の評価の枠組みを整理し,まず介入の質の評価を述べ,最後に制度の評価について考えてみたい。
掲載誌情報