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研究と報告

性格・気質とセロトニンレセプター(HTR2A)遺伝子多型の関連性

著者: 寺山隼人1 和賀央子2 伊藤正裕1 岩橋和彦2

所属機関: 1東京医科大学解剖学第一講座 2麻布大学大学院環境保健科学研究科神経生理学

ページ範囲:P.639 - P.643

抄録

 セロトニン(5-HT)は神経伝達物質の1つであり,その受容体は少なくとも14種のサブタイプからなる。なかでも,5-HT2A受容体は大脳皮質,辺縁系に存在し,アゴニストにより抑うつ,不安が起こり,幻覚,高体温,精神運動興奮などを生じる。このことから,不安,睡眠障害,自殺,統合失調症の陰性症状に関与しているのではないかと考えられている。

 今回我々は健常者130名に対し,書面においてインフォームドコンセントを行った後5-HT2A受容体のエキソン1サイレント変異(T102C)およびプロモーター領域の変異(A-1438G)の両遺伝子多型を同定した。PCR法により目的領域を増幅させ,RFLP法を用いて遺伝子型の判定を行った。T102CおよびA-1438Gの遺伝子多型の頻度が健常者の性格・気質に影響する1つの要因であるかを自己記入式質問紙法人格検査 NEO Five Factor Inventory(NEO-FFI)の得点を分散分析(ANOVA)を用いて比較検討した。その結果,これらの遺伝子多型が性格・気質の要素に関連する可能性が示唆された。今後,例数を増やすとともにより多くの性格検査を試行し,5-HT2A受容体やその他の受容体と性格・気質との関連を詳細に検討する必要がある。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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