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文献詳細

雑誌文献

精神医学46巻7号

2004年07月発行

展望

人格障害の90年―Koch, Schneider,そしてDSM-Ⅲ

著者: 中谷陽二1

所属機関: 1筑波大学大学院人間総合科学研究科

ページ範囲:P.674 - P.684

文献概要

はじめに

 今日,人格障害は精神医学のトピックスの1つとなり,日常臨床においても他の精神障害に劣らない重みをもっている。こうした人格障害論の活況は1980年のDSM-Ⅲ1)を転換点とする大きな流れのように思われる。

 DSM-Ⅲから遡ることおよそ90年,Kochは『精神病質低格』12)を著した。Kochの学説はSchneider25)によって精神病質問題の全領域を切り開いたと評され,他方ではMeyerにより移入されることでアメリカ精神医学での精神病質に姿を変えた15)。Kochの概念は中田16)の言葉を借りれば「精神病質概念の1原点」であり,ひいては現代の人格障害論の源流をなすと言えるであろう。

 DSM-Ⅲが局面を塗り替えたことで,それ以前の90年はあまり顧られなくなっている。しかし人格障害をめぐるさまざまな今日的課題を解く鍵はDSM-Ⅲの前史に埋もれているかもしれない。小論ではKoch,Schneiderを主軸としながら精神病質/人格障害概念の流れをたどり,DSM-Ⅲで何が変わったか,またその得失は何かについて論じてみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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