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文献詳細

雑誌文献

精神医学46巻7号

2004年07月発行

研究と報告

クリニカルパスによる急性期統合失調症治療―BPRSと薬物療法などの解析

著者: 橋本喜次郎1

所属機関: 1独立法人国立病院機構肥前精神医療センター

ページ範囲:P.701 - P.707

文献概要

抄録

 3か月のクリニカルパス(以下パス)を治療に用いた急性期統合失調症患者の解析を通して,急性期治療におけるパスの意義,退院予測性,至適薬物療法などを検討した。

 パス適用者を一定の条件で成功群と不成功群に定義した。パス適用33例は,成功群18例と不成功群15例に分けられ,入院期間の平均はおのおの60.4日と132.7日であった。両群は,入院時並びに退院時においてもBPRSの総計点で有意差はなかったが,入院2週目と4週目で成功群が有意に改善していた。処方解析では,入院と退院の両時点で処方量に差は認められなかったが,最大処方量で不成功群は有意に量が多く,処方の変更率でも成功群に比し有意に高かった。

 上記の背景には,患者個々の薬物への反応性の違いが示唆された。また,急性期統合失調症の治療では,入院2週目のBPRS改善率が入院期間を予測する客観的指標に成り得ることが示唆され,3か月の標準的な入院期間以外に,別期間の設定プランが必要と考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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