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The Schizophrenia Quality of Life Scale 日本語版(JSQLS)
著者: 兼田康宏12 今倉章3 大森哲郎1
所属機関: 1徳島大学医学部情報統合医学講座精神医学分野 2 3医療法人緑が丘病院精神神経科
ページ範囲:P.737 - P.739
文献購入ページに移動Wilkinsonら5)は,統合失調症患者の認知と関心を測定する,妥当で実用的な自己記入式質問票として,Schizophrenia Quality of Life Scale(SQLS)を開発した。近年,医療現場において,疾病の治療のみならず病者の「生活の質(以下,QOL)」が注目されており,統合失調症患者においても,重要な関心事の一つとなっている。従来,統合失調症患者のQOL評価には,Medical Outcomes Study 36-item short-form health survey questionnaire(SF-36)4)やHeinrichsらのQuality of Life Scale(QLS)2)などが用いられてきた。QOLの評価に関しては,疾病特異的で自己評価式の尺度の重要性が指摘されているが1),SF-36は,自己評価式であるものの,疾病特異的ではなく,また,QLSは疾病特異的ではあるが,自己評価式ではない。そこで,Wilkinsonらは統合失調症患者のQOLを評価するために,実用的で,コンパクトな自己評価式尺度として,SQLSを作成した。SQLSは,30項目からなる質問表であって,各項目は0点から4点で採点される(:「一度もない」=0;「ほとんどない」=1;「時々ある」=2;「よくある(たいていできる,よく思う)」=3;「いつもある(いつもできる,いつも思う)」=4)。SQLSは,3つの領域(心理社会関係,動機/活力,そして症状/副作用)を評価し,臨床試験や治療介入の評価を主な目的としている。また,SQLSはすでに,信頼性が高く,妥当で実用的であることが示されている4)。我々は,その有用性に着目し,臨床応用のために,原著者の許可を得た上で,日本語版(JSQLS)を作成したので,ここに紹介する。日本語訳にあたっては,まず,2名が独立して仮日本語訳を作成し,その後訳者2名に第3者を加えた計3名で協議した上で日本語訳を作成し,さらにその後,原文を知らない者2名に独立して日本語訳のback-translationを行わせ,この英文のそれぞれを原著者に確認してもらった。なお,JSQLSの信頼性,妥当性については,すでに検討されている3)。
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