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研究と報告
器質的障害のある前頭葉てんかんの1例―運動関連電位による焦点部位の検討
著者: 五十嵐雅文1 麓正樹2 有田秀穂2 菅原道哉1
所属機関: 1東邦大学医学部精神神経医学講座 2東邦大学医学部第一生理学講座
ページ範囲:P.821 - P.826
文献購入ページに移動運動関連電位は,筋放電をトリガーとして逆行性加算平均を行い,随意運動に先行する脳電位を求める方法である。今回我々は通常の発作間欠期の脳波では異常が認められず「ヒステリー発作」とされてきた前頭葉てんかんの1例を経験した。焦点部位の検討のため左右手関節の運動課題を負荷し,運動関連電位を測定した。右手運動負荷時に運動関連電位の異常と,繰り返し右手運動を行うことでCzに陽性棘波が認められた。これは過去の報告とあわせ考えると,臨床発作の前駆状態と考えられた。運動領野が関係すると考えられる症例に運動課題を課し,運動関連電位や脳波を記録することで,焦点部位の推定の一助となる場合があると考えられる。
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